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チャレンジャーの思い出

ファミコンが大ブームだった頃、いろんな人の家がゲーム大会の会場となっていた。カセットが豊富にある家は大人気で、いつもいろんな人がたまっていた。その子の家の人はさぞ迷惑していたことであろう。

スポーツ万能で、頭もよくて、ファミコンも得意な男の子がいた。性格が明るくて人気者だった。その子の家にクラスの1/3くらいが押しかけたことがあったけど、お母さんもニコニコ迎え入れてくれた。今思えばとんでもないことしてるな。

「チャレンジャー」といえばハドソンの有名なゲームである。売れたはずだ。なのにチャレンジャーはみんなその子の家でやっていたように思う。なぜか全然わからない。みんなで仲良くチャレンジャーを順番にやって、男の子も女の子(ゲーム好きな女の子あんまり少なかったな……)も楽しく遊んでいた。

その男の子はなぜか、小学校から中学校にかけてのどこかでヤンキーの道に進んでしまった。みんな彼がそっちに行くとは思っていなかった。私も思っていなかった。スポーツ万能で、頭もよくて、性格が明るくて、みんなの人気者だったのに。何があったのかは全然知らない。明るくて優しいお母さんは何も変わらなかった。余計に何があったのか推測さえできなかった。

そり込みを入れて、ドカンをはいて、たばこを吸い、隣の中学とけんかをし、先生につかまり。もちろん勉強もスポーツも真面目にやることなんてない。学校にもあまりこないので、顔を合わせる機会は減った。

たまーに、本当にごくたまに何回か話すことがあった。格好はものすごくヤンキーだったけど会話はごくふつうだった。明るくて優しい。でも“こちら側”には戻ってこない。

高校に進んでからはどういうふうに過ごしたのか、うわさも聞かなくなった。生活圏はきれいに分かれ、道端で会うこともない。そんな風にしてどんどん時間が過ぎた。たまにレトロゲームとしてチャレンジャーが出てくると、あの音楽と一緒にちらっと、その男の子のことを思いだした。

その男の子の記憶が突然外部とつながった。きっかけははてなダイアリーである。
http://d.hatena.ne.jp/toya/20080225/p1

普段読んでいるはてなダイアリーに、突如その男の子が登場した。彼は湘南モノレールのトンネルを駆け抜けた者として、地域住民の伝説となっていたのだった。トンネルに入って怒られたのは知っていたけど、まさか伝説化とは。

はてなダイアリーを介してよみがえった記憶がまた埋もれかけた今年、Facebookの友達候補に、ふとその男の子の名前が出てきた。Facebookならあるあるな出来事だ。小学校の同級生とは、本当にごく一部を除いてまったくつながっていなかったのに、いきなり出してきた。

クリックするか、かなり迷った。自分はこれまでの経緯で多少記憶はあるけれど、向こうにはたぶんないだろう。でもクリックしたら向こうの友達候補に出る可能性が少し高まる。それはそれで面倒だ(よくあることだけど、小学生のときのコミュニティはその親も含めてめんどくさいものだ)。でも多少出るくらいならなんとかなるのでは?でも?

何度かの逡巡を経て、その名前をクリックした。その先には、小学校から中学校にかけてつるんだ仲間と定期的に飲み会をしている様子の、ちょっとヤンキーの名残を残した写真が、何枚もあった。場所は地元だ。彼らは今でいうマイルドヤンキーになっていたのだった。大変典型的なマイルドヤンキーだった。

チャレンジャーを一緒に遊んだときから、もう30年以上経った今まで、こんなに何度も何度も思い出す対象になるとは全然思っていなかった。そのときから一度も、Facebookの友達候補に彼の名前が載ったことはない。

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