HPのアレとかにあこがれた上で、あそこまでスパルタンなDOS機のはつらいということでこちらを買ったのだが、こっちのほうが実はスパルタンなのではないか、というシロモノだった。
最初からはいっているOSがDOSであり、謎のランチャみたいなものからPDAっぽいことができるのだが、PDA的なものだけでよければPDAでいいじゃん、という感じだった。
なんと、モニターの前にはスタイラスで入力できるタッチパッドまである先進的なものだったが使い道がなく、PCカードスロットも二つついてる上にCFもささる!というすごい拡張性だったのだが、当時としても非力な486 SXのCPUと、なんだかんだで数百メガないとWindows95(だったか)は入らないのでPCカードスロットを二つつぶす、分厚いPCカード型HDDをささないといけないみたいな色々な微妙にたりないスペック。拡張ポートも本体とほぼ同じサイズのドッキングステーションが必要…という感じであり、あまり活用する事ができなかった。(もし、当時USBがあれば、もっとイケてたのかもしれない)
一点面白いのは、モジュラージャックをつなぐと電話機になるというところだった、時報に一度かけただけだったが。
ただ、(華奢な印象はあるものの)筐体は鉄でできており、手触りが非常によかったし、プチプチと入力するフルキーボードも(入力速度はさておき)とても良いものだった。やはりハードはIBM。
さておき、こいつの思い出もないわけではないのだが、実際には、これを買ったT-ZONEミナミの方が思い出ぶかい。20年くらい前の秋葉原は色々な店があったのだが、個人的に一番好きだったのがT-zoneミナミだった、床面積が多分一番広くて、なんでもそろっているのが最高だった。
当時はまだパッケージ売りのソフトが全盛であり、4フロアくらいあるPCソフトを順番に見ていくのは楽しかった。
「飯を抜いてもナナオを買え!」ではないが、ナナオのディスプレイもここだった気がする。
同様の店として、ザコンがあったのだが、「ザコン?俺はミナミのほうが好きだな」という思考を持っていた、なぜならザコンはガラスケースでしゃらくさく、T-zoneミナミは洋物につよかったからだ。
特に一番上の階にIBMやら洋物のハードが多く販売されていて、バタフライのThinkpadなど、めっちゃ高いエンスー向けのハードが多くおいてあったのだ、あそこは本当に好きだった。IBMのチャンドラとかすごいほしかったし、消滅したCHRP規格の100万くらいするThinkpadもあった。
ただ、時代が流れ、あれ?ジャンクパーツフロアになったな…というころには自分は秋葉原に行くこともなくなった。
駅前のバスケットコートと駐車場はでかいビルになり、T-zoneミナミはラオックス系のよくわからないゲーム売り場になり、ドンキホーテになり、AKBが唄って踊る時代もあったらしいがその頃はしらない。
とにかく、このPC110はこれ自体が凄く思い出深いものにはならなかったのだが、その頃の秋葉原が個人的には好きだったのである。
今の秋葉原がけしからん!みたいな考えは毛頭ないのだが(もう、興味はない)、あの頃のT-zoneミナミとか、ぷらっとほーむとか、あそこらへんの光り輝いた夢一杯感はもう味わえないのだな…と無闇な寂しさが募る。
…いや、今も昔もかわっていないのかもしれない、いまもT-zoneミナミみたいな場所はどこかにあるんだろう、自分の目が曇っただけなんだろうな。
特に強い感動もなく、最新のMacとiPhoneを買い換えている自分に気付く今日この頃だった。